活動風景

アジアの石炭火力発電所の建設に融資される日本の公的資金

2015.06.15

前回の気候変動コラムで国際シンポジウム「気候変動とエネルギー:石炭火力発電の問題に迫る」の一部についてご紹介しましたが、このシンポジウムの後半の部分では、「効率的な石炭火力発電技術は、持続可能な社会への解決策か?」と題して、石炭火力発電所への融資の問題について議論されました。今回の話の中で際だったのは、気候変動対策を主軸の一つに据えて融資基準を決める欧州投資銀行と世界各地の石炭火力発電所の建設計画に融資をしている日本の国際協力銀行(JBIC)の方針の違いです。一体どのように違うのでしょうか。

●脱化石燃料を融資基準にする欧州投資銀行
欧州投資銀行(EIB)とは、EU加盟国によって出資されており、その利害を代表する唯一の金融機関で、他のEU関係機関と密接に協働している銀行です。今回来日したアディーナ・レリコヴィッチ氏は、EIBの環境・気候変動・社会担当局上級環境専門官で、その気候変動とエネルギー融資政策について説明してくれました。

EIBの融資目標は4つの主要公共政策ゴールに基づいており、その一つに「環境保護と気候変動への行動」が位置づけられています。この明確な目標に基づき、融資基準として㈰化石燃料依存を脱却するための再生可能エネルギー、㈪効率向上を通じて、適切なエネルギーを確保し、エネルギー消費を削減、㈫化石燃料発電の融資を限定的にするための基準
、を設定しています。化石燃料への融資を厳しく制限する一方で、再生可能エネルギーに対しては幅広く融資を振り向けているのです。カーボンフットプリントの指標を使って評価・公開し、相対的な排出量は2011年〜2013年に毎年CO2換算で2〜3百万トンの削減が推定されると紹介されています。
横一列に並ぶ人々

●「高効率」ですらないJBICの融資先火力発電所
4月24日、日米の環境NGO6団体(気候ネットワーク、JACSES、FoE Japan、CoalSwarm、FoE US、シエラクラブ)が共同発表した「石炭はクリーンではない—検証:日本が支援する海外の石炭火力発電事業<http://sekitan.jp/jbic/?p=968>」では、次のことが明らかにされています。

1.2010年以降に計画・建設されたJBICの支援する石炭火力発電のうち、超臨界圧のボイラー導入割合は62%、超々臨界圧は7%であったが、同時期に世界で導入された割合は、超臨界圧が36%、超々臨界圧が29%であり、JBIC支援事業は世界平均よりも低効率だった。

2.日本政府は「2007年〜2012年に日本企業が輸出したアジアにおける事業の超臨界圧の割合(62%)よりも、中国企業が輸出した超臨界圧の割合(35%)が低い」と主張している。しかし、中国企業が輸出する超臨界圧の割合は急激に上昇しており、2016年には85%程度になることが明らかとなった。

3.JBICが過去12年間(2003年〜2015年)に支援した石炭火力発電所において、約半数の発電施設が脱硫装置を設置していないことが明らかとなった。PM2.5等の粒子状物質除去については、5分の4の設備の性能が不十分であることが明らかとなった。

国内向けには、日本の技術は「世界最高」だということを言い訳に石炭火力発電所の建設に対しての融資を大規模に進めているわけですが、それも実態がかけ離れていることになります。
また、WWFのラファエルセンガ氏の発表では、世界の石炭火力発電所に対する公的輸出信用機関による支援は日本の拠出額が群を抜いて高いということです。
ラファエルP4図

グリーンピース東アジアのアリフ・フィヤント氏からは、日本の融資で進められようとしているインドネシアのバタンにおける石炭火力発電所の計画が、地域の農民や漁民の生活を脅かし、大規模な反対運動が展開されていることも紹介されました。
活動風景

世界各地の石炭火力発電所に対して、私たちの税金が使われているのです。自分たちの問題としてこの問題をとらえていくことも必要ですね。

★シンポジウム資料はこちらから
http://sekitan.jp/info/coal-symposium-materials-20150529/

★石炭火力発電所のJBIC融資の問題について深く知りたい人はこちらから
sekitan.jp/jbic