煙突からのぼる石炭を燃やして出る煙

”気候カジノ”の危険な賭け 〜世界の専門家が東京で石炭火力発電所問題について議論〜

2015.06.15

”石炭”というと、蒸気機関車や工場の煙突からもくもく煙が出る様子を思い浮かべる人もいるでしょう。工場や火力発電所でもたくさん使われてた石炭は、大気汚染の元凶であり、効率も悪くてCO2をたくさん排出しているイメージを持っている人もいるでしょう。

でも、もしかしたら、それは昔の話で、今の日本の石炭火力発電所に対しては、少し違うイメージを持っている人がいるかもしれません。石炭を推進する人たちは、「クリーンコール」などという言葉とともに、最近の石炭火力発電所は大気汚染物質も出さないし、高効率でCO2排出は少なくなっているから、環境にも良いなどとアピールされています。・・・・でも、それは間違いです。石炭は天然ガス火力発電所の約2倍のCO2を排出し、”高効率”であっても石油よりもCO2排出量は多く、”クリーン”と言っても大気汚染物質を出しています。燃やした後は石炭灰など廃棄物も大量に出てきます。

日本では東日本大震災後の原発停止をきっかけに、今後の建設計画が次々と発表され、その数は45基を上回り、かつてない勢いで計画が進行しています。こうした状況を客観的に分析する専門家が世界各地から集まり、先月29日、国際シンポジウム「気候変動とエネルギー:石炭火力発電の問題に迫る」が開催されました。世界で進む脱石炭の動き、そしてそれとは対照的に石炭推進に邁進する日本。様々な議論によって、現在の日本の課題が浮き彫りになりました。

●”気候カジノ”の危険な賭け
まず、人類にとって危険な気候を回避するために、CO2の大気中濃度を450ppmで安定化しようとすると、残されたカーボンバジェット(炭素予算)はごく僅かです。カーボントラッカーのジェームズ・リートン氏の報告によれば、現在、地中に埋蔵されている化石燃料を掘り起こしていけば、排出量を大きく超過してしまいます。今、石炭の開発や石炭火力発電所の推進などに資本を振り向けることは、人類にとって非常に危険な賭けであり、まさに「気候カジノ」です。そして、こうした危険な賭けに踏み切らないよう、投資家たちの動向や企業の選択、政府の政策は石炭からの脱却に向けた動きが広まりつつあるようです。
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●ドイツのエネルギーヴェンデ
ドイツの研究機関アゴラ・エネルギーヴェンデのクリストフ・ポデウィル氏は、ドイツでのエネルギー大転換が成功していることを紹介しています。その鍵はエネルギーの価格です。再生可能エネルギーの中でも主力となる太陽光や風力といった発電コストが安くなり、化石燃料からの転換が進んでいるのです。一方、価格が安いとされている石炭も2008年までは投資先として人気があったものの、その後一辺し、大手電力会社の株価も80%下落してきたと言います。これによって、これまで原発や石炭をメイン電源としていた電力会社も、再エネへと大きくシフトする変革が起きています。しかも、このことはドイツだからできることではなく、他の国でも同じように可能であると断言されています。
エネルギーヴェンデとは、発電システムを根本的に変えること

●日本は世界の潮流から脱落!?
日本の状況については、立命館大学の大島堅一さん、自然エネルギー財団の大野輝之さん、気候ネットワークの平田仁子さんから紹介されました。ちょうどシンポジウムの直前にエネルギーミックスの政府案がまとめられ、その内容は2030年の日本の電源構成を原発20〜22%、再エネ22〜24%、石炭火力26%、LNG火力27%、石油火力3%とするというものでした。政府案では、再生可能エネルギーのコストが高いことなどを理由に、再エネの割合いを低く見積もり、原発と石炭火力をベースロード電源として旧来型のエネルギー構成を踏襲するなど、いかに先進各国が将来目指すものをは真逆かが明らかになりました。まさに”気候カジノ”に突き進む日本です。
今後、Climate Action Nowキャンペーンを通じて、気候変動問題とともにエネルギーの問題にも目を向けながら、市民の間で議論を深めながらキャンペーンを展開していけたらと思います。
さあ、明るいほうののエネルギーへ

★シンポジウム資料はこちらから
http://sekitan.jp/info/coal-symposium-materials-20150529/

★もっと石炭の問題について深く知りたい人はこちらから
http://sekitan.jp