判決後記者会見

シロクマ訴訟で不当判決!~CO2の排出は「公害」か?~

2015.06.25

●「シロクマ訴訟」とは

今、日本でいわゆる「シロクマ訴訟」という裁判が行なわれていることをご存じでしょうか。この訴訟は、地球温暖化を引き起こすCO2の排出は「公害」であるとして、”シロクマ”を原告の一人として公害等調整委員会に対して電力会社10社を相手に申請をしたことからはじまります。公害等調整委員会はこの申請を却下したため、国を相手に(今度は人だけで)判断取り消しを求める裁判を起こしたのです。

シロクマ裁判所前

シロクマ裁判の判決日、裁判所前にて

●米国連邦最高裁判所の判決

ちょっとここで米国の例を紹介しておきましょう。米国の連邦最高裁判所では2007年、新車の排気に対して「CO2が大気汚染物質である」との判決を下しました。前例のない判決は当然大きな話題になったのですが、その後、気候変動政策に前向きな民主党のオバマ大統領が2009年に就任し、2013年に気候行動計画を発表しました。そして、翌年には環境保護庁では「大気浄化法(クリーンエアアクト)」における火力発電所の規制案をまとめるなど、確実にCO2排出規制の流れがつくられているのです。”気候変動”というかつてはなかった問題が、今、人類の生存を脅かすほど深刻な問題になっています。時代の流れに伴って、「公害」を何ととらえるか、柔軟に裁判所は判決を下していると言えましょう。

シロクマ弁護団

判決日シロクマ弁護団の入廷

●日本の裁判所の判断は!?

さて、話を日本に戻しましょう。日本での裁判は東京地裁で2014年9月10日、原告の訴えを棄却する判決を下しました。その後上告し、東京高裁で争われていましたが、この度2015年6月11日、再び不当判決が下されました。

裁判所がCO2排出を公害だと認めなかった理由は、①気候変動は『地球環境保全』の問題であって『公害』ではない、ということと、②毒性等を含む物質の排出によるものじゃなければ公害とは言えない、ということです。極めて保守的な判断が下され、日本の裁判所と米国の裁判所の柔軟性の違いが浮き彫りになった裁判であります。

当然ながら、この裁判はさらに上告し、今後最高裁で争われることになります。シロクマ弁護団のさらなる奮闘に期待したいと思います。

シロクマ訴訟東京高裁判決後の記者会見

<関連記事>
気候ネットワークブログ:地球温暖化は「公害」か?~シロクマ訴訟の東京地裁判決~シロクマ弁護団島キクジローさんのブログ