天気の急変や不気味な雲で知られるシアーラインと呼ばれる現象。気象用語や航空専門用語として使われていますが、空を見上げれば意外と見つけることができるようです。怪しい雲画像が不気味に感じる雲がシアーラインなのかも!?
シアーラインとは?
シアーラインは英語表記で[shear-line]と書きます。
直訳は[剪(せん)断線] 。
剪断(以下せん断)はなかなか使われない言葉ですが、簡単に言うと鋏(ハサミ)で切ることと思ってもらえば少し伝わるかも。
ハサミの両刃がすれ違うように交差することで、紙なり髪が切れることを”せん断”と言います。
この2枚の定規の動きを「剪(せん)断力」といい、紙を切ってきた線が正しく「シアーライン」ということになります。
このように「二分されている空模様」を見たことはありませんか?
そこにシアーラインがあるのかもしれません。
天気や航空業界の「シアーライン」とは
では、このシアーライン、専門的に説明しようとすると以下のようになります。
風向・風速(どちらか一方でも良い)が急に変化しているところを結んだ線を「シアーライン」と呼びます。
積乱雲に伴って発生するシアーラインでは、積乱雲から吹き出す風と積乱雲周辺の風が線状にぶつかり合っています。
ー気象庁HPよりー
ー気象庁HPよりー
この図の積乱雲からの下降気流(風)と、周りの気流(風)をハサミの両刃に見立てます。
それに切り取られるように「風がぶつかっている部分が線状(紫色の点線)に結ばれる」のでこのように呼ばれているそうです。
もちろん、積乱雲だけがシアーラインの原因ではなく、よく天気予報で聞く「寒冷(温暖)前線」もシアーラインを引き起こすことがあります。
シアーラインの見つけ方
こんな風がぶつかり合う場所のシアーライン。
「シアーラインを見つける」ためにはどうすればいいのでしょう?
ちょっと専門的になりますが以下の動画に詳しく解説されています。
こちらの動画によると
シアーラインとは
風向・風速(どちらか一方でも良い)が急に変化しているところを結んだ線(収束域であるとは限らない)
シアーラインを見つけるには「ウォーリを探せ」的な感じです。
絵本の「ウォーリを探せ」を読んだことがある方はお分かりだと思いますが、とにかく細かい!
目を更にしてウォーリーを探すのですが、それと同じように天気図の中からシアーラインを探し予測します。
これは天気図の読み方が必要になるので、かなり上級者向けです!!
等圧線やら気圧が絡んでくるので、かなり難度が高い「シアーラインを探せ」です。
専門家の見解でも『ASASなど地上天気図ではなかなか発見できない』そうです。
前線などでしたら、規模も大きいですので大まかな風の解析情報からでも、風のシアーが分かります。
また、気圧の谷にもなっていますので、等圧線からも推測することもできますね。
ー日本気象株式会社HPより抜粋ー
と言うように、天気図からシアーラインを見つけるのはちょっと難しいです。
もし見つけられても、規模が大きいシアーラインは実際に目にすることは難しいようですね。
そもそも、シアーラインは、メソスケール(メソ気象学)と言って、ある一定の広さに限定したエリアの気象現象です。
天気図のような広いエリアを示した情報には載せていません。
関東:午後はニワカ雨・雪の可能性
関東の沖合などでは風のぶつかり合いで出来るシアーラインと呼ばれる雲が広がる見込み。茨城や栃木北部では雪の可能性がある。空模様の変化に注意。
Youtubeからもご覧いただけます。https://t.co/ep2NAZQths pic.twitter.com/L3t0uLRtJ9
— ウェザーニュースLiVE (@wni_live) January 17, 2021
航空機はシアーラインを通過する際に、向かい風が増加または減少するため、揚力が変化して進入コースから外れてしまう危険が大きくなります。
このように空港などの必要な場所には観測機器などがあり、常時監視しているようですが、一般的には「落雷」「突風」「降ひょう」に注意と言う表現で注意喚起されることもあります。
もし、天気予報で「シアーラインに注意してください」と言う表現がありましたら、天気が急に変わると思うと間違いないかもしれませんね。
シアーラインの雲画像!
そんなシアーラインですが「見たい!!」という方も多いでしょう!
以下の情報を見てみて下さい。
普段では見たことがないような、空が二分された雲がある場所が「シアーライン」かもしれません。
今日の午後は穏やかな春を思わせる陽気となった関東に怪しい雲が出現しています。風の流れが変化するシアーラインが寒気の南下により活発化したためです。夕方にかけてにわか雨にご注意ください。https://t.co/MdXPMluNIe pic.twitter.com/iMcLAhL2It
— ウェザーニュース (@wni_jp) February 2, 2021
見事なシアーラインだな。にしても埼玉と千葉で15℃以上も気温差あるのスゴいhttps://t.co/Lk9padgK5t pic.twitter.com/WvKFeIh24Y
— けNTA (@nKentaNature) February 1, 2021
東西に走る濃い青のラインがシアーラインかな? pic.twitter.com/9ia523Tlx4
— HORITOMO (@HORIGON69) February 2, 2021
札幌市内では違う方向の風がぶつかり合うシアーラインに伴う活発な雪雲がかかってきた影響で、急に雪が強まってきました。昼過ぎにかけて視界不良や路面状況の変化に注意が必要です。https://t.co/p8tZ0e8980 pic.twitter.com/wg5duWoVET
— ウェザーニュース (@wni_jp) January 30, 2021
風向きが変わって不気味な雲を見つけたら、、、
「怖い〜」と空を見上げながら「シアーライン!?」と思えば楽しいです。
まとめ
「シアーラインとは?見つける方法と注意点!怪しい雲画像が不気味すぎる?」をまとめました。
エリアが狭かったとしても力が強ければ航空機などの運行に影響を与えるシアーライン。大きなハサミが空をジョキジョキ切り裂いている、なんて思ったらちょっと面白いやら、怖いやら。
「知っとく!防災のすべて」でした。