屋根の雪下ろしは命がけの作業になります。その労力はもちろんですが危険と隣り合わせの雪下ろし。どのタイミングで作業したらいいのでしょう?その目安を簡単に知る方法があります。また雪下ろしの注意点もまとめました!
屋根の雪下ろしはいつやる?
豪雪地帯に住む人にとって、屋根の雪下ろしは重労働で危険が伴う作業です。
目安として、一般的に屋根の雪下ろしは積雪深1m以上とされています。
しかし、サラサラの雪と湿った雪では重さがいます。
1㎥(1m×1m×1m)あたりの積雪重量で考えると、降り積もったばかりの新雪は軽いので1㎥あたり30〜150kgです。
が、時間が経つと雪は水分を含んでザラメ状の雪になり、水分を含んだ雪は重く300〜500kgに達します。
建物によっても強度は違うのですが、家屋が倒壊する恐れがあるのは700㎏と言われています。
これがどのくらいの重さなのかというと、750~850㎏の軽自動車が屋根の上に何台も乗っている状態となります。
毎年、雪による家屋の全壊、一部倒壊、破損など降雪による被害は絶えません。
そこで屋根の雪下ろしをしなくてはいけないのですが、雪下ろし中の事故も毎年起こっています。
そこで、雪下ろしをする目安やタイミングが分かるサイトと、少しでも楽に雪下ろしをする道具をご紹介します!
雪下ろシグナルとは?
雪下ろしをする必要性やタイミングがひと目でわかる「雪下ろしシグナル」というサイトがあります。
その名も「雪おろシグナル」と言います。(画像は新潟県)
降雪量から適切な雪下ろしのタイミングを表示してくれるサイトで、別名「積雪重量分布情報」と言います。
「国立研究開発法人防災科学技術研究所」が「新潟大学」と「京都大学」の協力のもとで
”見た目の高さ”だけでは分からない
”雪の重さ”
を可視化させています。
雪下ろシグナルというネーミングもいいですが、危険度が色別されているので分かりやすいですね。
そして、この(下から4番目の)黄色エリアになった時が「雪下ろしのタイミング」となります。
例)黄色 300-500kg/㎡で積雪深が1m以上
最上位の濃い紫色になると、その重さは1t(1000kg)以上にもなるのです!!
このレベルになると木造の建築物などに被害が出ている可能性があるのでとても心配です。
現在この「雪下ろシグナル」は、北から秋田・山形・新潟・富山・長野の5県で利用が可能です。
【適用対象県へのアクセスはこちら】
より詳細な「積雪荷重計算」はこちら!
雪おろシグナルサイトは「積雪重量分布」を色分けしてくれていましたが、少々エリアが粗いです。
「目安」にはなり得ますが”色と色の境界線付近”や”自分の実家周辺”はどうなの?となります。
また、雪おろシグナルサイトは「その時点までの通算積雪量」を表示しているので、一度でも雪おろしをすると実際との差が生じてしまいます。
例) 通算積雪量(600㎏)-雪下ろし量(400㎏)=残雪量(200㎏)
そこで、知りたい場所のより新しい残雪量を知ることができるのが「積雪荷重計算」サイトです。
各県の「雪おろシグナルサイト」の右上に入口ボタンがあります。
そこをクリックすると「積雪荷重計算サイト」へ飛びます。
画像引用元:新潟県積雪荷重計算サイト
こんな感じのページです。
これが、なかなかの優れもので
- 知りたい自治体名
- 最後に雪下ろしをした日付
を入力して検索すると、残雪量を計算できる地点が表示されます。
知りたい場所に一番近い地点を選び、日付などを入力すると自動で残雪量を表示してくれます。
その数値が300㎏/㎡を超えていなければ慌てて雪下ろしをしなくても大丈夫、という指針を立てることができる、というわけですね。
なかなか便利です。
屋根の雪下ろしの注意点と事故防止策
屋根の雪下ろしの注意点をまとめてみました。
作業は1人で行わず、必ず2人以上複数で行ってください。
雪下ろしの注意点
まず、雪に建物がどのくらい耐えられるのか把握しておきましょう。雪下ろしの時期やタイミングは雪おろシグナルを参考にするといいですね。
- ヘルメットを着用し、動きやすい服装にしましょう。
- 万が一転倒しても滑りにくい生地の衣類を着用しましょう。
- 長靴は荒縄などで滑り止めの工夫をしましょう。
- 携帯電話を持っていく
- 命綱を使用し、長さは屋根の上で留まる長さに調整します。
- 綱の固定はアンカーやロープなど専用の器具を事前に設置しましょう。
- 命綱を体に固定するのは安全帯など幅広の物を使用しましょう。
- 梯子の足元はしっかり固めて、頭部はロープで固定します。
- 十分余裕のある長さの物を使用して、屋根に対して真っ直ぐに適切な勾配でかけます。
- 軒先は瓦の雪止めの位置を確認し、雪止めより先では作業をしない。
- 足元の雪をしっかり固める
- 雪止めより上部に足場を作って作業を行い、最後に足場から下の軒先部分を取り除くと 安全です。
- 下層のザラメ雪は滑りやすいので注意が必要です。
- 雪は 全部取らず、厚さで20~30cmは残しましょう。
- はしごからの最初の一歩、最後の一歩は特に注意が必要です
- 準備運動をしてから始め、無理な態勢では行わず少しずつ何回かに分けて下ろしましょう。
- 休憩を取りながら、水分補給も忘れずに!
参考サイト:雪下ろシグナル「「安全に雪下ろしを行うために」
雪下ろしの事故防止策
- 作業をする時は家族や隣近所に声をかけて、複数で行います。
- 雪下ろしをする時は建物の周りに雪を残しておきましょう。
- 晴れの日は屋根の雪が緩んでいるので注意しましょう。
- 低い屋根でも油断しない!
- 命綱、ヘルメットを着用し、こまめに手入れや点検をしておきましょう!
- 除雪機の雪詰まりを取り除く時は、必ずエンジンを切りましょう!
この他にも雪下ろしは危険がいっぱです。
過去に命を落とした方は
- 屋根からの転落(41%)
- 屋根からの落雪(17%)
- 除雪機に巻き込まれた(5%)
- 除雪作業中の発作(8%)
- 水路への転落(10%)
というデータがあります。
雪下ろしは命がけの作業になります。
くれぐれも万全の注意をしてください。
命綱のおすすめ
スノーダンプは小回りが効くものが使いやすく、スコップは軽いものがいいですね。
こちらの記事を参考にしてみてください。
まとめ
「雪下ろし|屋根はいつやる?目安やタイミングと方法や注意点!」をまとめました。
毎シーズン必ずと言っていいほど数十名の犠牲者が出てしまう「雪下ろし」の作業。
もっともっと、必要な情報と必要なやり方を広めていくことが大事なのかもしれません。
「知っとく!防災のすべて」でした。