特別警報級と特別警報の違いは何なのでしょう?特別警報の種類とそれぞれの基準は?また、台風特別警報と大雨特別警報の違いもあるようです。それぞれの注意点と避難方法についても調査してみました!
特別警報
気象庁は、大雨、暴風、地震、津波、高潮などにより何らかの被害が想定され避難などが必要とされる事態に対し「注意報」や「警報」を発表して警戒を呼びかけます。
特別警報とは?
そしてこの「警報」はその中でも重大な災害が起こるおそれがある場合に警戒を呼びかけて行う予報とあります。
つまり「警報」だけでも大変なことを意味しているのですが、そこに「特別」の文字がつくのですからさらに大きな災害が予想されるのが「特別警報」です。
- 大雨特別警報
- 暴風特別警報
- 高潮特別警報
- 波浪特別警報
- 大雪特別警報
- 暴風雪特別警報
大雨や暴風など気象に関する災害のおそれがあるときは、特別警報が発表される前に、時間を追って段階的に「気象情報」➡「注意報」➡「警報」と発表されていきます。
そして、最後に発表される「特別警報」。これがどんなにすごいのか、【暴風】特別警報を例に見て見ましょう!
最大瞬間風速ランキング
- 1位 静岡県 富士山 *91.0m/s南南西 1966年9月25日台風26号
- 2位 沖縄県 宮古島 *85.3m/s北東 1966年9月5日台風18号
- 3位 高知県 室戸岬 *84.5m/s西南西 1961年9月16日台風18号
- 4位 沖縄県与那国島 *81.1m/s南東 2015年9月28日台風21号
- 5位 鹿児島県名瀬 *78.9m/s東南東1970年8月13日台風9号
(気象庁)HPより抜粋
ここに並べた記録は過去の台風による瞬間最大風速です。
1位の富士山は山頂で記録されたもの。秒速90mを超える風なんて想像もつきませんよね。
「暴風警報」に「特別」が付くには数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により暴風が吹くと予想されることが必要になります。
つまり「特別警報」が出されるということはこのクラスの暴風が吹くと予想されるわけですね。
風速20m/sや30m/sでも凄い風だと思うのですが、それくらいでは特別警報は出ないことになります。
このように「○◯特別警報」とは警報の発表基準をはるかに超えて、数十年に一度の重大な災害が起こるおそれが著しく高まっている、もしくはすでに発生している場合に発表されるものなのです。
大雨特別警報は特別?
特別警報がどれも注意が必要なのは言うまでもありませんが、「大雨特別警報」はさらに特別?です。以下の情報は気象庁HPからのものですが、いろいろな災害が-段階を追って危機が高まっていく-ことが書かれています。
気象庁HP-防災気象情報と警戒レベルの対応について-より
その中で最上位の黒い部分で数十年に一度の大雨によって重大な災害が起きている可能性がある場合に発表されるのが「大雨特別警報」のみであることが分かります。
この段階では、大雨が引き起こす洪水・浸水・土砂災害など命に直結する災害がすでに起きていることもあり、避難は大雨特別警報が発表される前に行うことがとても重要になります。
命を守る行動が必要な警報として発表されるのは「大雨特別警報」だけであり、その可能性は全国のどこにもあり、また時期や季節も問いません。それだけ最も身近で危険な特別警報と言えるかもしれません。
台風の特別警報とは?
こちらもよく聞くようになった「台風の特別警報」。
「○○特別警報」と「台風の特別警報」は違います。
台風の特別警報は他のものとは違い、ハッキリとした基準があります。
- 中心気圧が930hpa以下
- または最大風速50m/s以上(沖縄・奄美地方 小笠原諸島は別基準)
というものです。
また「台風の特別警報」は注意報や警報がないことが特徴です。
その代わりに台風が最も近づく約12時間前に発表されることが決まっています。
これは「最大級クラスの台風が12時間後に来て暴風や大雨をもたらすので、それまでに安全な場所に避難してください」ということを意味しています。
特別警報級とは?
2020年台風10号が日本列島に向かって北上するなか、気象庁では「特別警報級なので最大限の警戒を!」と注意を呼びかけています。
「特別警報級」はあまり聞いたことがありませんね。
特別警報級とは何なのでしょう?
この「級」の字がつくことで何が変わるかというとそれは発表のタイミングなのです。
【風】に限らず【雨】などの特別警報は「注意報」➡「警報」と順次発表され、その後に発表されるものですから当然【風】吹いたり【雨】が降らないと発表できません。
ところが「級」の文字を一文字加えるだけで、まだ【風】もなく【雨】の一粒も落ちていないタイミングから発表することができます。
「特別警報」よりも早い段階で「特別警報級」と示唆することにより、人々に早い段階での避難や備えを呼びかけることができるのです。
2020年台風10号は、予想最低気圧は915hpaと「台風の特別警報」が発令される可能性がすでに日本列島に接近する以前からある為に、早い段階で「特別警報級」と発表されているます。
つまり、気象庁が「特別警報級」として言及することは今後大きな被害が予想されるので「『異例の避難』を考えてほしい」という意味です。
それだけ危険な状況が差し迫っているという事なのです。
「特別警報級」の時の避難について
上記のように「特別警報級」は「特別警報」が発表される前に言及されますので、まだ時間的猶予はあります。
その為、事態が悪化する周囲が安全なうちに避難場所に移動することができたり、台風に備える時間もあります。
- 「危険が及ばない頑丈な家に住む親戚や友人の家への避難」
- 「ホテルや旅館への避難」
- 「飛行機や車で他の地域への移動する」
なども可能になります。
2020年台風10号では「特別警報級」により、ホテルや旅館が満室になったり、離島の人々が島を離れて避難している様子がありました。
このように安全に動けるうちに安全な場所に避難する時間があります。
ホームセンタでは板や紐などを買い求める人々の姿もあり、暴風雨対策もより強化できる時間があります。
また、台風は停電を引き起こす可能性が高く、猛暑のなかエアコンや冷蔵庫が使えなくなるということもあります。
2019年(令和元年)9月5日に発生した令和元年房総半島台風(台風第15号:ファクサイ)では、台風被災による停電のため熱中症とみられる症状で亡くなった方もいました。
台風被災は復旧するまでに時間がかかることがあるので、暑さ対策のほか、食糧を多めに準備するなど、いつもよりもさらに入念な準備が必要です。
ある意味「特別警報級」とは「特別警報」よりも危険が迫っているのだと認識した方が良いのかもしれません。
水平避難と垂直避難
洪水や土砂災害の危険がある時には避難所や安全な場所へ避難することは重要です。
しかし、川の増水や氾濫、道路の水没などによりすでに他の場所への避難が既に危険な場合もあります。
そんな時には垂直避難をしましょう。
避難所など他の場所へ避難する事を「水平避難」といい、自宅の二階や建物の上の階に避難する事を垂直避難と言います。
外に出るのが危険なときは「2階以上で、斜面や崖から離れた部屋」に避難しましょう。
実際に過去の災害では多くの人が避難所へ向かっている最中に亡くなってしまったという例もあり、垂直避難という考え方が浸透してきました。
ただし、垂直避難したから安全というわけではありません。
家ごと流されたり潰される可能性があるのは言うまでもありません。
何よりも大切なのは最新の情報を入手し、置かれている状況をよく判断して、早め早めに避難行動されることをお勧めします!
まとめ
【特別警報と特別警報級とは?種類と基準や台風と大雨の違いと避難方法の注意点も!】をまとめました。
「特別警報級」と発表されたらなるべく早くに安全な場所の避難を確保し、備えをしましょう。
「想像を超える災害が必ず起きる!」という心構えが必要ではないでしょうか。
「知っとく!防災のすべて」でした。