近年の台風は大きさも勢力も強くなっています。台風による被害の中でも特に強風によるものが多いですが、風速何メートルくらいから台風と呼ぶのでしょう?その目安や基準と台風の定義について!風速の観測方法は?
台風は風速何メートルから?
台風の季節になると「熱帯低気圧」である台風のたまご情報から目が離せなくなります。
その勢力や進路の情報をこまめにチェックして、台風の接近に備えなければいけません。
雨による災害に備えるのはもちろんですが、台風は風の強さにも注意が必要ですね。
過去の台風でも風による大きな被害が起きています。
どんなに風が強くても、風が強いだけでは「台風」とは呼ばないのです。
春一番や突風、竜巻など、どんなに風が強く吹いても台風とはいいませんよね。
そこで、まずは台風の定義からみて見ましょう!
台風とは?
台風の定義
- 北太平洋、または南シナ海で生まれた熱帯低気圧(たまご)である。
- その熱帯低気圧の最大風速が17,2m/s以上までに発達。
この条件を満たすと「台風」と呼ばれます。
日本の南の海で生まれた熱帯低気圧(たまご)が発達したものだけを「台風」と呼ぶのです。
ちなみに大西洋北部、南部や太平洋北東部や北中部で発生した熱帯的気圧を「ハリケーン」と呼びます。
- 台風:東経180度以西の北太平洋と南シナ海で発生したもの
- ハリケーン:大西洋と東経180度以東の太平洋のもの
- サイクロン:インド洋や南半球のオーストラリア近海で発生したもの
ハリケーンの風速は日本のm/sとは違い、kt(ノット)で表します。
kt(ノット)は船舶や航空機の速さでも使われていますね。
「ハリケーン」「サイクロン」と聞くと台風より大きくて勢力があるように思いますが、生まれた場所が違うだけで構造は同じです。
ただ、台風・ハリケーンの定義が日本とアメリカでは違うので、アメリカが「台風」と認識しても、日本では「台風ではない」と言うことが起きる場合があります。
日本では台風9号なのに、同じ台風が米軍の合同台風警報センター (JTWC) での発表が「台風10号」だったりするのはそのためです。
ちなみに日本の気象庁はとても優秀で「熱帯低気圧プログラムに参画する地域特別気象中枢」(RSMC for TCP) に指定されています。
日本の気象庁の判断が国際的には公式のものとされているのです!!
気象衛星「ひまわり」は本当に凄い働きをしています!
日本の気象衛星技術は世界屈指なんですよ〜。
ひまわりのリアルタイム映像は見ることができるので、是非、見てみてください!!
もちろん日本以外の同海域の中国、台湾、フィリピン、ベトナムなどの気象機関も独自に推定を行っています。
それでも、日本の気象庁を参考にしている国が多いと言われているほどなのです。
台風の風による被害の目安
そよ風程度なら心地いい風も、その風速が大きくなれば命の危険が及ぶこともあります!
「風速」とは空気が移動する速さのことで、日本の気象庁ではm/s (メートル毎秒)が使われます。
いわゆる秒速のことですね。
・1秒間に風がどのくらい移動したのか?を表しています。
数値が大きくなればなるほど風が強いことになります。
ちなみに国際的にはkt(ノット)が使用されます。
1kt(ノット)は「1時間に1852メートル進む速さ」になります。
ところで、風速は単位が「秒速」なので、車や電車での「時速」に慣れている私たちには「秒速」と言われてもピンと来ないかもしれません。
そこで秒速を時速に変換してみましょう!
1時間は60秒×60分=3600秒です。
1秒間に1メートル進むとすると、3600秒で3,600メートル(3,6km)進みます。
なので風速1メートル(1m/s )は時速3.6キロメートル(km/h)になります。
そうなると、、、
- 10m/s=36km/h
- 20m/s=72km/h
- 50m/s=180km/h
という感じになります。
そうなのです!
これだけのスピードの風が吹いているので、傘や屋根が飛ばされたりと、台風では多くの被害が出るのです。
では、風は風速何メートルくらいから、どんな被害や危険があるのでしょう?
風の表現 | 風速 | おおよその時速 | 危険度 |
やや強い風 | 10〜15m/s | 〜50km | 歩きにくい |
強い風 | 15〜20m/s | 〜70km | 転倒する危険がある |
非常に強い風 | 20〜30m/s | 〜110km | 何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷する恐れがある。 |
猛烈な風 | 30m/s以上
最大瞬間風速50m/s以上の風 |
〜125km
140km〜 |
多くの樹木が倒れ、電柱や街灯、ブロック塀で倒壊するものがある。 走行中のトラックが横転する危険も高い。 |
風速が大きくなると物が飛んでくるだけでなく、人間も一緒に飛ばされます!
猛烈な風になると特急電車くらいの速さになります。
特急列車が突っ込んでくるとイメージしてみてください。
人間などひとたまりもないことが分かりますね。
また、表を見てもらうと分かるのですが「風速の違い」で「風の呼び方」は決まっています。
台風情報などではどこの放送局でも「強い風」「猛烈な風」と同じ用語で表現されるのはこのためなのです。
参照元:気象庁公式サイト
最大瞬間風速とは?
台風情報では「最大瞬間風速」というのもよく耳にします。
最大瞬間風速とは瞬間風速の一番大きい値の数値になります。
風は常に同じ強さで吹いているわけではありません。
瞬間的な速さを「瞬間風速」といい、その最大値を「最大瞬間風速」といいます。
風速 | 10分間の平均風速 |
瞬間風速 | 3秒間の平均風速 |
最大瞬間風速 | 瞬間風速の最大値 |
参考元:ウェザーニュース
台風の風速はどうやって測るの?
通常、気象庁から発表される風速は日本各地にあるアメダスが観測したデータになります。
アメダスは1974年11月1日に運用が開始され、現在、降水量を観測する観測所は全国に約1,300か所あります。
このうち、約840か所(約21km間隔)では降水量に加えて、風向・風速、気温、湿度を観測しています。
風速は建物などに影響を受けやすいので、アメダスは地上10m以上のところに設置されているそうです。
しかし、これは「現在」吹いている風の観測データになります。
台風が通り過ぎた後に「最大瞬間風速○50m/sが吹いた」と言われるものです。
台風情報では台風が接近する前から「非常に強い風が吹く恐れ」「猛烈な風になる」と言われます。
台風の風の強さはどのように予測しているのでしょう?
実は、以前はアメリカ軍が実際に台風の中へ航空機で行き、風速計を落として測っていたそうです。
そうですね(笑)とても危険な観測方法だったのです。
現在は気象衛星の発達により、衛星画像を用いて、熱帯低気圧の勢力・特性などを解析しています。
雲の大きさや、発達傾向、雲の広がり、温度を用いて、最大風速などが推測されるのだそうです。(ドボラック法)
参照元:Wikipedia「ドボラック法」
そうです!
ここで気象衛星ひまわりが登場してくるのです!
日本の気象衛星ひまわりは静止気象衛星です。
赤道上空約 35,800 kmで、地球の自転と同じ周期で地球の周りを回っています。
台風が発生すると、台風を追跡しながら2.5分ごとに観測を行います。
台風の周囲で積乱雲が発達している様子や、台風の目の中で雲が渦を巻いている様子も確認することができる優れものなのです!
まとめ
【台風は風速何メートルから?どれくらいの風が基準なのか目安や定義を調査!】をまとめました。
台風とは北太平洋・南シナ海で生まれた熱帯低気圧(たまご)で最大風速が17,2m/s以上までに発達した物を「台風」と呼びます。
風速が大きくなればなるほど危険が増します!
台風が接近すると予報がでたら、台風に備えて身の安全を守る行動を取りましょう!
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